Archive for 9月 2009

先日たまたま「お買い物」というテレビドラマを見た。

脚本:前田司郎、演出:中島由貴、出演:久米明 渡辺美佐子 市川実日子など。

 

のどかな田舎で暮らす老夫婦(久米明と渡辺美佐子)。

ある日、おじいさんに届く一通のダイレクトメール。

東京のアンティークカメラ店から見本市を知らせる案内状だ。

 

昔好きだったカメラの事を思い出し、その催しに出かけると言い出すおじいさん。

散歩もままならないおじいさんだが、近所の神社に通い続け、

登れなかった階段の頂上に上がれる位に脚力を付ける。

いよいよ20年ぶりに東京へ、老夫婦の珍道中が繰り広げられる。

孫娘(市川実日子)も巻き込み、2人の人生の断片が会話の端々に現れていく。

 

とは言っても特段これといった大事件が起きるわけでもなく、

老夫婦の日常~上京~買い物が描かれていく静かな展開だ。

久米明、渡辺美佐子演じる夫婦の味わいみたいな空気感は流石だが、

見ていて幾度も笑わせられつつ妙に心に沁みる。

 

何が沁みてくるのか気になっていた。

その理由は、自分がそこにいたのかもしれないと。

夫婦や家族の間では言葉の断片が交わされるが、

その説明というか思いなどは一々口に上らないのが殆どだ。

 

言葉のうしろにある口にすることが無い思い、

ある光景や出来事に対する独特な感じ方。

こういう断片が幾重にも重なって日常がある。

 

上京~買い物というイベントの中で、

この老夫婦の間で過去の断片が顔を出していく。

老夫婦にある幾重にも重なった内にある感情の断片、

内に抱えたままなかなか表には出ない、そういう日常に自分は共鳴したんだと思う。

日常の中にある口にすることが無い思い、それは深くて力があるという気がした。

ちょっと強引だが類型タイプは「小津映画」なのではないかと思う。

 

こういうきちんとしたもの、

静かに内面を照らし出す味わい深いものがこれから増えていくような気がする。

(増えて欲しい)

おじいさんのカメラじゃないけど、

忘れなくてはならない理由があろうとも好きなことに心を注ぎ、

楽しむ事を忘れたくないものだ。

ローコストへの対応

今回の課題解決は求められるローコストへの対応について。

 

この十余年、映像業界をはじめ各種制作業の価格破壊が進み、

昨年後半以降更なるローコスト制作が常態化していると感じます。

 

ローコスト制作の対応として、

できるだけ制作セオリーは変えずに手段や要素の簡素化で対応してきました。

悪く捉えれば厳しく大変な環境ですが、

見方を変えれば価格対応力を付けさせて戴いたのかもしれません。

 

ウェブ制作でもB to Bやインナー向けのものに対する使い勝手の良さと

ローコスト要望が強くなっているようです。

HTMLでは更新に費用がかかる、

素材のアップロードや反映がしにくいといった理由から

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)への需要が高まっているようです。

プロバイダの集客及び会員サービスとして始まったブログサービスがCMSと進化、

業務用プラットホームになってきているように感じます。

入力エディターを使って更新作業をすることが余計な業務となる、

との阻害要因もありますが「手段」を変えることなく闇雲にローコストに対応することは

如何なものかと思います。

 

同じ方法や手段で値段だけを下げるのではなく、

違う方法で対応するのが建設的だと思いますし、

見合った内容を探して提案するのが専門家の役割だと思います。

課題解決=ローコスト対応には知恵を使った提案を

第13回 MA整音ミックス作業は大切

今回は音声のことです。

聴きやすく、耳にすんなり入ってくる大切さについて。

 

映像の後工程には画面編集と音声の整音MAVがあります。

映像編集は文字通り、画面編集で映像に入っている音声の取捨選択も行われます。

MAVとはMult Audio Video、複数の音声~ナレーション、音楽等をステレオのLR、

2トラックに集約する作業です。

ナレーション収録や音源の仕込みの後にナレーションや音楽(SE,ME)などの

音源の整音、音声のミックス作業があり、とても大切な工程です。

*SE:Sound Effect  ME:Music Effect

 

ナレーションが立って聴きやすいものになっているかどうかは

このミックス段階で決まります。

(ナレーターさんの声質の要素もありますが・・・)

音楽のレベルが高くナレーションが聞き取りにくい、

というのはきちんとミックスされていない事になります。

こういう場合、再生側のボリュームを上げても聞き取りにくさは変わりません。

音楽も聞かせつつ、ナレーションが気持ちよくすんなりと聞ける、

という事が大切、というかこうなっていなければいけないのです。

ナレーションが聞き取りにくいでは映像の役割を果せていないことになります。

 

特にウェブでムービーを公開する場合、

音声が必須のものはきちんと整音ミックスをする必要があります。

ナレーション収録が無く素材に収録された音声に音楽をつける場合でも

整音ミックスにより、素材の音声を極力引き立てます。

(収録状態が悪いと限界がありますが)

 

ところがコストを抑えるために、

この整音ミックスを編集作業で済ませようというケースがあります。

編集での音声処理は大まかな「整理」作業なので、

音声のメリハリをつける整音ミックスができません。

編集とMAVは機材も人も異なる別工程なので、

音に関する作業はMAV、整音ミックスで行うことが結果早くて効果的です。

 

音は目に見えないので分かりにくいのですが、

聞き取りにくいものは精神的にも良くなく、結果伝わりにくいツールになってしまいます。

きちんとナレーション や音声を聞けるようにする。

当たり前といえば当たり前ですが、根幹に関わる大切なことです。

この工程をコストダウンにより削ったなら、画竜点睛を欠くこと になりかねません。

コストダウン

今回はちょっと大き目な課題解決、コストダウンについて。

 

値切り方とか闇雲なローコスト制作ではなく、良いものを如何に効率的につくるか。

当サイトではこれまでに費用について以下の投稿を掲載しました。

「企業の映像制作 第1回妥当な制作費とは」

http://www.makes.co.jp/note/1001seisaku/1009seisaku/

 

今回は制作プロセスから手がかりを上げてみます。

良いものを如何に効率的につくるか、これはある種答えの無い課題かもしれません。

しかし、有効な方法は発注者と制作者との意思疎通にあると思います。

踏み込んだ話、意見を充分交わす事を発注者と制作者で行うべきです。

*制作の目的についてはこちらを参照ください

「企業の映像制作 第7回シンプルな目的設定」

http://www.makes.co.jp/note/1001seisaku/1016seisaku/

 

例えば見え方。

制作するテーマや様々な要素において発注者と制作者では見え方が違います。

発注者は内部の見方、制作者は外部の見方になり、必ず理解に差異があります。

企画書や言葉では問題が見えにくいのですが、

敢えて深堀りして「これはどういう表現になるのか」をお互いが理解するべきです。

 

例えば構成要素。

シナリオをつくる前の段階、構成案を時間をかけて吟味する。

制作テーマに対する担当者の考え方、

過去の類似制作での評価、つくったものの効果・希望・・・。

「そのパターンは・・・だからだめ」

「実は今回・・・が解消されると良い」

というような話しが出てくればいい線行っているかと。

 

例えば使い勝手。

実際どんな局面で使われその方法に可変要素が無いかどうか。

 

例えば本音。

過去のケースでの反省や他社も含む類似例への率直な感想など。

 

上げればきりがありませんが、色々な意見を交わして発注者と制作者お互いが

「ああ、そうだ!」という合意が出来ると俄然つくるべき内容がはっきりしてきます。

構成要素とその見せ方、演出。

この時演出者がはっきりと何をつくるのかが見えていれば態勢的には失敗はありえませんし、

制作上の無駄は出ないものです。

 

この制作上の無駄が出ないことがコストダウンだと思います。

ポイントが明確になっていれば、手段も無駄がなくなり、

見込み作業の確度も高まり、結果費用効率が高くなります。

またこういう制作ができれば良いものができる確率がぐ~んと高まり、

色々とスムースでお互い安心です。

 

一方、無理な値引きや、内容を見極めずに進めるローコスト制作では

良いものができる確率は博打状態になり、

進行や結果はひやひやものという事になりかねません。

経験値ですが、費用効率で言えば3割程度は違うと思います。

当たり前のようなことですが、よく話し合う事が良い結果に繋がると確信します。

課題解決=コストダウンは話し合いから

チャプター機能

ちょっとした課題解決をご紹介します。

社内外の会議やイベント用映像制作での事例から。

 

オープニングや特定のコーナーでDVDのチャプター機能を活用しています。

複数の内容をどんどん切り替えて映し出したい時や

ライブ進行に合わせてタイミング良く映像を出す場合に便利です。

 

例えばAに言及しているときはA関連映像を上映、

次のBを映すまではAをリピート再生させておきます。(静止画の状態でリピートも良い)

そしてタイミング良く次のBは「次のチャプター」を選択実行します。

要はパワーポイントを使って画像を手動で順次送っていたことを

DVDのチャプター機能を使って複数の映像を次々に上映するものです。

 

パワーポイントでは動画や音声などの表現に限りがある(現実的ではない)ので用途は限定されますが、

DVDなら既存の映像素材を活用できる、ナレーション音楽を入れられるなど表現と用途が広がるためお薦めです。

また音楽を絡めたもの、タイトル出しなどタイミング合わせが必須の内容にはうってつけです。

 

気になる費用ですが、これまでチャプター設定などのオーサリング費は高額なものでした。

しかし、高位のオーサリングではなく中位の信頼可能なオーサリングソフトが広まって来た事で費用も随分こなれてきました。

メニュー画面制作が必要ないので気軽に使える機能だと思います。

ノンリニア編集と組み合わせれば数万円で可能な作業です。

ちょっとした課題解決=「チャプター機能を有効活用する

しばしば「制作費は何故こうも開きが大きいの」「もっと安く」「この半分くらいで」と言われたりするので、

停滞する経済以外の理由や時代的な対応方法を考えているこの頃です。

 

車や楽器、自転車やAV機器。

車なら乗り味とか独自の世界や愉しみが欲しいのか、

ギターなら音の響き方や正確な調律にこだわるのか、

自転車ならどこまでも走り続けたい高揚感やメンテという慈しみを求めるのか、

スピーカーならどんな音の再現性を聞きたいのか・・・

と自分の趣味の世界で置き換えて考えてみると、確実に言える事がありました。

それはいきなり上級の世界は要らない、です。

 

何かを企画したり制作する時、

これまでは条件の中で一番良いと思われる方法や手段を採るようにしてきましたが、

条件自体を変える必要がありそうです。

制作者が考える良いと発注者の良いの開き、

これをまず大きな条件、費用面で無くさなければいけない。

 

先日とある改訂作業がありました。

制作した内容の一部差し替えです。

ごく簡易に差し替えをしたいとの申し出があったこともあり、

上記の「良いの開きを費用面で無くす」試みをしてみました。

 

あるブロックを別なブロックの途中に差し込む作業です。

差し込む場所が途中なので音楽も切れ、ブロックで表現している内容が途中で切れることになります。

本来ならシナリオを再構築、ナレーションを録り音楽も敷き直し、再度整音したいところです。

しかし敢えて目をつぶり編集作業だけに留めました。結果は問題なく終了。

 

このケース、あまりに酷いものになるならこうしませんが、許容できるラインを下げてみました。

ちょっとゆるめも有効なのかもしれません。

但しゆるい事やちゃんとしたものがある事をきちんと伝える必要があります。

望まれているのが「ママちゃり」なのか「ロードバイク」なのか。

「ロードバイク」だけではなく「ママちゃり」も提示しながら対応していかないといけないようです。

 

製品を売るのとは違い、受注してからつくるので「上がり」が分かるのは完成後になる。

新たにゆるめも入れた企画設計をして、

ジャストフィットする企画と制作のシステムを考えてみようと思い始めています。

第12回 企画競合

今回はいわゆる企画コンペについて。

 

企画の競合はやはり緊張します。

それゆえ企画が採用された時の嬉しさは格別ですね。

さて、採用される企画内容について最近の(勝手な)傾向についてひとこと。

 

オリエンテーションで戴く資料には

目的、納期、予算そして依頼内容などが記されています。

通常はそこに書かれている情報に則って考えていくわけですが、

どうやらそれでは通らない場合があると感じています。

どういう事かと言いますと、前提となるオリエンシートの情報自体に縛られると良くないな、という事です。

 

何らかの課題があって課題解決の為に企画を依頼する、これがコンペのありようです。(普通は)

ところがオリエンシートに記されている(あるいは記されていない)課題と依頼内容にずれがある場合ばどうでしょう。

 

例えば製品Aが改良され新製品Bが完成、そのBを訴求するようなプロモーションツールの企画提案依頼だったとします。

課題が「Bを売る」依頼内容は「Bの紹介方法や訴求方法」となり、当然我々はBについての紹介方法を考えたりするわけです。

ところが本当の解決策は「AやBを含んだ製品ジャンルの情報整理」にあったりするのです。

発信側からすれば新製品Bが主役なわけですが、受け側ではまだAもBもよく分かっていない事もあるわけです。

これがずれであり、貰った情報自体に縛られると良くない、という事です。

発注者は当事者であり専門家ですからA/Bを熟知していますが、

そもそもA/Bって何なの、という所から考え(疑っ)てみる事が必要だというのが勝手な見解です。

 

上記のように書いてしまうと「そんな事か」と感じるかもしれませんが、

なかなか基本情報から抜け出して考えるというのはそう出来るもんじゃありま せん。(特に複数の会社で制作を行う場合)

提案する企画を考える事も大変ですが、依頼の仕方次第で結果が大きく変わったりするので

企画競合って本当にデンジャラスだと思います。

それでも(だからこそ)企画競合は大歓迎です。