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2009年09月 アーカイブ

2009年09月03日

企業の映像制作「第12回 企画競合」

第12回 企画競合

今回はいわゆる企画コンペについて。

企画の競合はやはり緊張します。それゆえ企画が採用された時の嬉しさは格別ですね。
さて、採用される企画内容について最近の(勝手な)傾向についてひとこと。

オリエンテーションで戴く資料には目的、納期、予算そして依頼内容などが記されています。
通常はそこに書かれている情報に則って考えていくわけですが、どうやらそれでは通らない場合があると感じています。
どういう事かと言いますと、前提となるオリエンシートの情報自体に縛られると良くないな、という事です。

何らかの課題があって課題解決の為に企画を依頼する、これがコンペのありようです。(普通は)
ところがオリエンシートに記されている(あるいは記されていない)課題と依頼内容にずれがある場合があるとすればどうでしょう。

例えば製品Aが改良され新製品Bが完成、そのBを訴求するようなプロモーションツールの企画提案依頼だったとします。
課題が「Bを売る」依頼内容は「Bの紹介方法や訴求方法」となり、当然我々はBについての紹介方法を考えたりするわけです。
ところが本当の解決策は「AやBを含んだ製品ジャンルの情報整理」にあったりするのです。
発信側からすれば新製品Bが主役なわけですが、受け側ではまだAもBもよく分かっていない事もあるわけです。
これがずれであり、貰った情報自体に縛られると良くない、という事です。

発注者は当事者であり専門家ですからA/Bを熟知していますが、そもそもA/Bって何なの、という所から考え(疑っ)てみる事が必要だというのが勝手な見解です。上記のように書いてしまうと「そんな事か」と感じるかもしれませんが、なかなか基本情報から抜け出して考えるというのはそう出来るもんじゃありません。(特に複数の会社で制作を行う場合)

提案する企画を考える事も大変ですが、依頼の仕方次第で結果が大きく変わったりするので企画競合って本当にデンジャラスだと思います。
それでも(だからこそ)企画競合は大歓迎です。

 

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2009年09月07日

ちょっとした課題解決1

チャプター機能

ちょっとした課題解決をご紹介します。
社内外の会議やイベント用映像制作での事例から。

オープニングや特定のコーナーでDVDのチャプター機能を活用しています。
複数の内容をどんどん切り替えて映し出したい時やライブ進行に合わせてタイミング良く映像を出す場合に便利です。

例えばAに言及しているときはA関連映像を上映、次のBを映すまではAをリピート再生させておきます。(静止画の状態でリピートも良い)そしてタイミング良く次のBは「次のチャプター」を選択実行します。
要はパワーポイントを使って画像を手動で順次送っていたことをDVDのチャプター機能を使って複数の映像を次々に上映するものです。

パワーポイントでは動画や音声などの表現に限りがある(現実的ではない)ので用途は限定されますが、DVDなら既存の映像素材を活用できる、ナレーション音楽を入れられるなど表現と用途が広がるためお薦めです。
また音楽を絡めたもの、タイトル出しなどタイミング合わせが必須の内容にはうってつけです。

気になる費用ですが、これまでチャプター設定などのオーサリング費は高額なものでした。
しかし、高位のオーサリングではなく中位の信頼可能なオーサリングソフトが広まって来た事で費用も随分こなれてきました。メニュー画面制作が必要ないので気軽に使える機能だと思います。
ノンリニア編集と組み合わせれば数万円で可能な作業です。

ちょっとした課題解決=「チャプター機能を有効活用する

 

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2009年09月08日

ちょっとした課題解決2

コストダウン

今回はちょっと大き目な課題解決、コストダウンについて。
値切り方とか闇雲なローコスト制作ではなく、良いものを如何に効率的につくるか。

当サイトではこれまでに費用について以下の投稿を掲載しました。

「企業の映像制作 第1回妥当な制作費とは」
http://www.makes.co.jp/note/1001seisaku/1009seisaku/

今回は制作プロセスから手がかりを上げてみます。

良いものを如何に効率的につくるか、これはある種答えの無い課題かもしれません。
しかし、有効な方法は発注者と制作者との意思疎通にあると思います。
踏み込んだ話、意見を充分交わす事を発注者と制作者で行うべきです。

*制作の目的についてはこちらを参照ください
「企業の映像制作 第7回シンプルな目的設定」
http://www.makes.co.jp/note/1001seisaku/1016seisaku/

例えば見え方。
制作するテーマや様々な要素において発注者と制作者では見え方が違います。
発注者は内部の見方、制作者は外部の見方になり、必ず理解に差異があります。
企画書や言葉では問題が見えにくいのですが、敢えて深堀りして「これはどういう表現になるのか」をお互いが理解するべきです。

例えば構成要素。
シナリオをつくる前の段階、構成案を時間をかけて吟味する。
制作テーマに対する担当者の考え方、過去の類似制作での評価、つくったものの効果・希望・・・。
「そのパターンは・・・だからだめ」「実は今回・・・が解消されると良い」というような話しが出てくればいい線行っているかと。

例えば使い勝手。
実際どんな局面で使われその方法に可変要素が無いかどうか。

例えば本音。
過去のケースでの反省や他社も含む類似例への率直な感想など。

上げればきりがありませんが、色々な意見を交わして発注者と制作者お互いが「ああ、そうだ!」という合意が出来ると俄然つくるべき内容がはっきりしてきます。
構成要素とその見せ方、演出。この時演出者がはっきりと何をつくるのかが見えていれば態勢的には失敗はありえませんし、制作上の無駄は出ないものです。

この制作上の無駄が出ないことがコストダウンだと思います。
ポイントが明確になっていれば、手段も無駄がなくなり、見込み作業の確度も高まり、結果費用効率が高くなります。
またこういう制作ができれば良いものができる確率がぐ~んと高まり、色々とスムースでお互い安心です。
一方、無理な値引きや、内容を見極めずに進めるローコスト制作では良いものができる確率は博打状態になり、進行や結果はひやひやものという事になりかねません。

経験値ですが、費用効率で言えば3割程度は違うと思います。
当たり前のようなことですが、よく話し合う事が良い結果に繋がると確信します。

課題解決=コストダウンは話し合いから

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2009年09月14日

企業の映像制作「第13回 MA・整音のこと」

第13回 MA整音ミックス作業は大切

今回は音声のことです。
聴きやすく、耳にすんなり入ってくる大切さについて。

映像の後工程には画面編集と音声の整音MAVがあります。
映像編集は文字通り、画面編集で映像に入っている音声の取捨選択も行われます。
MAVとはMult Audio Video、複数の音声~ナレーション、音楽等をステレオのLR、2トラックに集約する作業です。
ナレーション収録や音源の仕込みの後にナレーションや音楽(SE,ME)などの音源の整音、音声のミックス作業があり、とても大切な工程です。

*SE:Sound Effect  ME:Music Effect
ナレーションが立って聴きやすいものになっているかどうかはこのミックス段階で決まります。
(ナレーターさんの声質の要素もありますが・・・)

音楽のレベルが高くナレーションが聞き取りにくい、というのはきちんとミックスされていない事になります。
こういう場合、再生側のボリュームを上げても聞き取りにくさは変わりません。
音楽も聞かせつつ、ナレーションが気持ちよくすんなりと聞ける、という事が大切、というかこうなっていなければいけないのです。ナレーションが聞き取りにくいでは映像の役割を果せていないことになります。
特にウェブでムービーを公開する場合、音声が必須のものはきちんと整音ミックスをする必要があります。

ナレーション収録が無く素材に収録された音声に音楽をつける場合でも整音ミックスにより、素材の音声を極力引き立てます。(収録状態が悪いと限界がありますが)
ところがコストを抑えるために、この整音ミックスを編集作業で済ませようというケースがあります。
編集での音声処理は大まかな「整理」作業なので、音声のメリハリをつける整音ミックスができません。
編集とMAVは機材も人も異なる別工程なので、音に関する作業はMAV、整音ミックスで行うことが結果早くて効果的です。

音は目に見えないので分かりにくいのですが、聞き取りにくいものは精神的にも良くなく、結果伝わりにくいツールになってしまいます。きちんとナレーションや音声を聞けるようにする。当たり前といえば当たり前ですが、根幹に関わる大切なことです。この工程をコストダウンにより削ったなら、画竜点睛を欠くことになりかねません。
  

 

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2009年09月16日

ちょっとした課題解決3

ローコストへの対応

今回の課題解決は求められるローコストへの対応について。

この十余年、映像業界をはじめ各種制作業の価格破壊が進み、昨年後半以降更なるローコスト制作が常態化していると感じます。
ローコスト制作の対応として、できるだけ制作セオリーは変えずに手段や要素の簡素化で対応してきました。
悪く捉えれば厳しく大変な環境ですが、見方を変えれば価格対応力を付けさせて戴いたのかもしれません。

ウェブ制作でもB to Bやインナー向けのものに対する使い勝手の良さとローコスト要望が強くなっているようです。
HTMLでは更新に費用がかかる、素材のアップロードや反映がしにくいといった理由からCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)への需要が高まっているようです。

プロバイダの集客及び会員サービスとして始まったブログサービスがCMSと進化、業務用プラットホームになってきているように感じます。
入力エディターを使って更新作業をすることが余計な業務となる、との阻害要因もありますが「手段」を変えることなく闇雲にローコストに対応することは如何なものかと思います。

同じ方法や手段で値段だけを下げるのではなく、違う方法で対応するのが建設的だと思いますし、見合った内容を探して提案するのが専門家の役割だと思います。

課題解決=ローコスト対応には知恵を使った提案を

 

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